名目めいもく)” の例文
「矢張り名目めいもく養子の園江金次郎樣が乘込んで跡を取ることになりませう。親類方は多世里と一緒にするつもりで居るやうですが」
「それもあるだろう。それはたしかに事をおこす名目めいもくにはなる。しかし、今度のことは、おそらく陸軍内部の派閥はばつ争いに直接の原因があるだろう。」
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
沢田先生のおくらしの一助という名目めいもくに負けて、おいでを願う事にしていたのであって、まさか、そんな無責任な綴方教育を授けているとは思いも寄らず、毎週いちど
千代女 (新字新仮名) / 太宰治(著)
名目めいもくは佐藤の代師範ということで、扶持も三人扶持という低額なものであるが、佐藤はまもなく辞職するらしいし、そうなれば待遇もよくなる、仮にいちじしのぎとしてでもどうか
花も刀も (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「何とでも勝手にしたまえ。わしは汽船に乗ったという名目めいもくさえつけばええのじゃ」
もっとくわしく、博学ものしりらしく書きたてると、支那唐代の官職に依る貴族の階級中、従二品より従五品下までの名目めいもくだった語で、従二品が光禄こうろく太夫、正三品が金紫光禄太夫、従三品銀青光禄太夫
その時にカルカッタに在留して居るある日本の紳士が、何かの名目めいもくを付けて私に金をくれたいと思って居るけれども、私は名目なしに金を受けなかったものですから、大いに困って居られたという。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
そうなのよ。たとえば、あたくしが肺病と神経衰弱によって、大統領秘書の激務げきむに耐えられないといったような名目めいもくでね。前任者が、そうでしたのよ。そうなってもあなたはあたしを
諜報中継局 (新字新仮名) / 海野十三(著)