名字みょうじ)” の例文
しかしそれは単に言葉であった。あるいは単に名字みょうじじゅするに過ぎなかった。その言葉その名字に含まれた生きた真理はつかまれていない。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
「おお、わすれていました」とグレッスが言った。「あなたの名字みょうじはドリスコルで、あなたのお父上の名前は、ジョン・ドリスコル氏です」
方壺山人は名字みょうじ渡辺わたなべといい、徳川の時代に木曾福島きそふくしまの名君とうたわれた山村良由りょうゆう公が詩文の師匠と頼んだ人で
力餅 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
鎌倉の武士大多和三郎は三浦の一族で、今の相州三浦郡武山村大字太田和はその名字みょうじの地である。伊賀の八田から大和へ越える大多和越、その他この地名は東国にも多く、西へ行くほどなお多い。
峠に関する二、三の考察 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
悲しむべし辺鄙へんぴの小邦、仏法未だ弘通ぐずうせず、正師しょうし未だ出世せず、たゞ文言もんごんを伝へ名字みょうじじゅせしむ。もし無上の仏道を学ばんと欲せば遥かに宋土の知識を訪ふべし。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
それはわたしの名字みょうじだとさっき弁護士べんごしが言った。