合卺がふきん)” の例文
わたくしは渋江抽斎の日乗に、柏軒と狩谷氏たかとの合卺がふきんを祝する詩歌、俳諧、俗謡があつて、中には稍褻に亘つたものゝあつたことを語つた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
小説にける男女の主客が婚礼はいとめでたし。なんとなれば渠等の行路難は皆合卺がふきんの事ある以前既に経過し去りて、自来無事悠々いう/\あひだに平和なる歳月を送ればなり。
愛と婚姻 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
わたくしは敢て其時を推窮して戊子の正月とした。按ずるに蘭軒の歿前一二年間の事は、口碑に往々伝へて歿後の事とせられてゐる。彼榛軒合卺がふきんの時の如きもさうである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)