取遣とりやり)” の例文
安斎は大人しいが気のいた男で、霽波と一しょには騒がないまでも、芸者と話もする。杯の取遣とりやりもする。
ヰタ・セクスアリス (新字新仮名) / 森鴎外(著)
丁度其頃わたしはヘツケル先生と手紙の取遣とりやりをしてゐました。ヘツケル先生は御存じでせう。
(新字旧仮名) / グスターフ・ウィード(著)
取遣とりやりをする前に、俺は先刻洞穴の中で貴様から貰ったあの返礼をしてやったのだ。
月世界競争探検 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
たとえば筵席えんせき觴政しょうせいの如く、また西洋学生団のコンマンの如しともいうべきであろうか。しかし集会に列するものは、これがために命の取遣とりやりをもしなくてはならなかった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)