取糺とりただ)” の例文
ネパールに這入はいってからもその事について取糺とりただしたが害が及んで居らんらしい。どうにかうまくまぬかれたものと見えるです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
月ヶ瀬にいる侍どものことについて、昨日申し上げた儀は、その後よく取糺とりただしてみると、藤堂家の侍ではなく、浮浪の徒が冬籠りしていたものらしい。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それにつけても、かの兜の出所をよく取糺とりただして置く必要があると思ったので、邦原家では金兵衛をよび寄せて詮議すると、金兵衛もその紛失に驚いていた。
(新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「まだ若年の野口が、こんないまわしい過失を犯したについて、師範のそこもとに忌わしい評があるとすれば、重職の立場としていちおう取糺とりただすのは私の責任だと思う」
花も刀も (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
ここは非常に面倒な所でそのすべてどこにお住みになるか、どういう御身分の者かすっぱり取糺とりただして、怪しい点があれば証明をしなければならぬ。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
……いや、かく申すなども、白洲にはあるまじき余事。もう取糺とりただすべき事もない。吟味は相済んだ。立て 立て
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
取糺とりたださなければならぬ
「大内不伝の素行については、平常、おもしろからぬ風評もあり、旁〻かたがた、仰せのような事実があれば、御遠慮なく、お取糺とりただしのこと、何ら、さしつかえなしとのおことばにござります」
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
御用は、今度の事件が聞えて、それについてのお取糺とりただしらしい。武蔵の首級しるしさえ取れば、わしの面目は立派に立ち、言い開きもつくのじゃが、沢庵坊主め、何といっても意地を曲げて渡しおらぬ。
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
取糺とりただしましたところ、頭目らしき真っ先の男がいうには——自分ことは、黄祖の手下で、甘寧かんねいあざな興覇こうはとよぶ者であるが、もと巴郡はぐんの臨江に育ち、若年から腕だてを好み、世間のあぶれ者を集めては
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)