半頃なかばごろ)” の例文
これは雪量の多い山地に固有の事実で、春の半頃なかばごろであると直径四寸以上五、六寸もあるような木が雪の為に地面に押伏せられている。
利根川水源地の山々 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
その年の夏もおそらく半頃なかばごろだったろう。父はある日、偶然、叔母の店から程遠くない同じ住吉町に一つの私立学校を見つけて来た。
(新字新仮名) / 金子ふみ子(著)
明治の半頃なかばごろまでさしも繁昌を極めた「阿波藍」にも大きな敵が現れました。化学は染めやすい人造藍を考え出しこれを安く売りさばきました。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
やす子の様子が怪しく思われはじめたのは九月半頃なかばごろからでしたが、でもこれは私の邪推だと思つて我慢をしておりました。
殺人鬼 (新字新仮名) / 浜尾四郎(著)
千八百七十年代の半頃なかばごろに至り日本政府もまた一個の博物館を東京に設立し自国の古美術品を蒐集し始めぬ。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)