午食ごしょく)” の例文
昨夜ゆうべ好く寐なかったからと、純一は必要のない嘘を女中に言って、午食ごしょく後に床を取らせて横になっているうちに、つい二時間ばかり寐てしまった。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
午食ごしょくが済むと、青木が寝台の隅で、シャツ一貫になって、重たい義足のバンドを肩からはすかいに吊り着けた。
一足お先に (新字新仮名) / 夢野久作(著)
戸外の労働にともなう午食ごしょく午餐ごさんでなく、したがってメシと呼ばるべきものでなかったことは明らかである。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
その鉱泉旅館へ一二回往ったことのある二人は、すぐ多摩川の流れを欄干らんかんの前に見る離室はなれへ通された。二人はその離室で午食ごしょくとも夕食ゆうしょくとも判らない食事をしながら話した。章一は酒を飲んでいた。
一握の髪の毛 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
保は二月九日の母が天麩羅蕎麦てんぷらそばを食べて炬燵こたつに当り、史を談じてこうたけなわなるに至ったことを記憶している。また翌十日にも午食ごしょくに蕎麦を食べたことを記憶している。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)