千束ちづか)” の例文
山崎千束ちづかは、私の生れ故郷田原の西を流れる市川の対岸福崎町山崎という所に、淵に臨んだ岩山があり、夜分その下を通った人が
故郷七十年 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
千束ちづかなす我が文は讀みも了らで捨てやられ、さそふ秋風に桐一葉の哀れを殘さざらんも知れず。ましてや、あでやかなる彼れがかんばせは、浮きたる色をづる世の中に、そも幾その人を惱しけん。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
はたまた、千束ちづかふみ一言ひとことも返さざりし我が無情を恨み給はん時、いかにいらへすべき、など思ひ惑ひ、恥かしさも催されて、御所ごしよ拔出ぬけいでしときの心の雄々をゝしさ、今更いまさら怪しまるゝばかりなり。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
心せはしき三度みたび五度いつたび、答なきほど迷ひは愈〻深み、氣は愈〻狂ひ、十度、二十度、哀れ六尺の丈夫ますらをが二つなき魂をこめし千束ちづかなす文は、底なき谷に投げたらんつぶての如く、只の一度の返りごともなく
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)