匹偶つれあひ)” の例文
私の祖母の匹偶つれあひで、名義上私の祖父にあたる人は、不断身持の悪い人であつたが、祖母に子供の生れないのを口実に、公然妾を設けることにした。
幼少の思ひ出 (新字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
と声をかけて、入つて来たのは蓮華寺の住職の匹偶つれあひ。年の頃五十前後。茶色小紋の羽織を着て、痩せた白い手に珠数ずゝを持ちながら、丑松の前に立つた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
諸国から本山へ集る若手の中でも五本の指に数へられたさうですよ——それで私は、其頃未だ生きて居た先住の匹偶つれあひと、今寺内に居る坊さんの父親おとつさんと、斯う三人でお寺を預つて
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
其時、私は先住の匹偶つれあひにも心配させないやうに、檀家だんかの人達の耳へも入れないやうにツて、奈何どんなに独りで気をみましたか知れません。やつとのこと、お金を遣つて、女の方の手を切らせました。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)