匇々さっさ)” の例文
尤も許しさえしたら、何もほって置いて匇々さっさと帰るかも知れぬが、兎も角も職分だけはく尽す。
ちらと見たばかりでは何の車とも分らなかった。何でも可なり大きな箱車はこぐるまで、上からこもかぶせてあったようだったが、其を若い土方風の草鞋穿わらじばきの男が、余り重そうにもなく、匇々さっさと引いて来る。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
犬が外を通りさえすれば屹度きっと飛んで出る。喧嘩するのかと、私がハラハラすれば、喧嘩はしない、唯さかんに尻尾をって鼻を嗅合かぎあう。大抵の犬は相手は子供だというかおをして、其儘匇々さっさこうとする。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
諦め玉え々々と三度回向えこうして、彼方あちら向いて匇々さっさと行って了う。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)