劫風ごふふう)” の例文
陸奥丸むつまる甲板上の五時間半、青森より函館まで、秋濤しうたうおだやかなりし津軽海峡を渡りて、我も帽子も初めて大海を吹きまはる千古の劫風ごふふうを胸の奥まで吸ひぬ。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
赫〻たる大日輪は螻蟻ろうぎの穴にも光を惜まず、美女のおもてにも熱を減ぜず、茫〻たる大劫運だいごふうん茅茨ばうしの屋よりも笑声を奪はず、天子眼中にも紅涙をおくる、尽大地じんだいちの苦、尽大地の楽、没際涯ぼつさいがい劫風ごふふう滾〻こん/\たり
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
右に日本海左に太平洋、一望劫風ごふふうの極まる所、満目たゞ之れ白浪の戦叫充ち、暗潮の矢の如きを見る。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
劫風ごふふうともにたえざる深沈の声をし。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
劫風ごふふう絶ゆる不動の滅の如
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)