切掛きっか)” の例文
実は、と目をねむって切掛きっかけたが、からッきし二の太刀が続きません。酌をして下さい、と一口に飲んでまた飲んだ飲んだ。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
日本酒と紹興酒しょうこうしゅと前菜とで晩餐が始められ、陣場が昨今の新聞をにぎわしている独墺どくおう合邦の話を持ち出したのを切掛きっかけに、シュシュニック墺首相の辞職
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
この事件を切掛きっかけにして段々頻繁ひんぱんになり、二人が一緒にやって来て半月も泊り続けることがあるようになった。
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
そして、どう云う切掛きっかけでそうなったのか貞之助達には分らなかったが、論議はいつの間にか「お婆ちゃん」とカタリナの親子喧嘩げんかにまで発展して行った。
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
橋寺の娘のことだの、国元の事情だのを尋ねたり、雪子と彼とが言葉を交し合うような切掛きっかけを作ったりし始めたので、いつか再び話題は彼の再婚問題にかえって行った。
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
不成立に終ったとしてもこれを切掛きっかけにあとの話が出て来そうだけれども、これを断ったら、又当分何処からも持って来なくなるかも知れない、まして今年は雪子が厄年やくどしなのではないか
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
私達は会おうと思えばまだもう一度会えるのですと、汽車が動き出すまで繰り返して云っていたのが、何だか可哀かわいそうのようであった、と、そんな話が出たのが切掛きっかけで、それなら悦子
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
少しぐらい無理をしたって大したことは、と云う持ち前の図太さから、のこのこ附いて来たのでもあろうが、………そしてとうとう大儀で溜らなくなったのと、よい切掛きっかけを得たのとで
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
しかし幸子の見た通り、母親にしても悲歎の余りいろいろな愚痴が出るのだけれども、結局外科に引き渡さなければならないことは観念していたものらしく、それを切掛きっかけに折れてしまった。
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
それを切掛きっかけに誰も彼も避難しよう避難しようと云い出した。
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)