冬菜ふゆな)” の例文
特に女の眼をよろこばせそうな冬菜ふゆなは、形のまま青くで上げ、小鳥は肉をつぶしして、枇杷びわの花の形に練り慥えてあった。
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
近所で訊いてみようと四辺あたりを見まわすと、三十格好の女房が真っ赤な手をしながら井戸端で大束おおたば冬菜ふゆなを洗っていて、そのそばに七つ八つの男の児が立っていた。
半七捕物帳:17 三河万歳 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
手先のきく清助は半蔵よりずっと器用に、冬菜ふゆな鶯菜うぐいすな牛蒡ごぼう人参にんじんなどの野菜を色どりよく取り合わせ、干しがきの類をも添え、台の上に載せて、その床の間を楽しくした。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
さかしまにたる置き上に冬菜ふゆな置き
六百句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)