円光えんこう)” の例文
旧字:圓光
現に仏画師はダアワのことを蓮華れんげ夫人と渾名あだなしている。実際川ばたの枝垂しだやなぎしたのみ児をいている妻の姿は円光えんこうを負っているといわなければならぬ。
第四の夫から (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
いわれぬ気高さと清らかさとを、やや前こごみの姿勢に保たさせ、おおらかとして歩いて行く。円光えんこうなどとはいわれなかったが、一種の雰囲気とはいうことができよう。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
前なるは手に錫杖しゃくじょうをついた一癖ひとくせありげな偉丈夫いじょうふ。後ろなるは、頭に宝珠瓔珞ほうじゅようらくまとい、頂に肉髻にくけいあり、妙相端厳みょうそうたんげんほのかに円光えんこうを負うておられるは、何さま尋常人ただびとならずと見えた。
悟浄出世 (新字新仮名) / 中島敦(著)
まさかに円光えんこうとはいわれないけれど、異様に征服的の雰囲気とはいえる、そういう雰囲気が立っているかのように、その人物が進むにつれてみなぎり流れている群衆が、自然と左右へ道をよける。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)