八釜敷やかまし)” の例文
いろは丸は紀州の船と衝突して沈没しましたので、長崎で裁判が有つて償金を出せ、出さぬと大分八釜敷やかましかつたのです。
それに親父が八釜敷やかましい、論語とか孟子とか云ふものでなくつては読ませなかつた。処が少しイロハが読めるやうになつて来ると、家にある本が読みたくなつたでせう。
いろ扱ひ (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「そんぢやこつちのおとつゝあん、お八釜敷やかましがした、わしやけえりませうはあ、一こくちや邪魔じやまでがせうから、こつちのおとつゝあんも邪魔じやまんねえはうがようがすよねえ」おつたは洋傘かさひらいて
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
書肆しよしも無論賛成で既に印刷に回して活字に組み込まうとまでした位である。所が其頃そのころ内閣が変つて、著書の検閲が急に八釜敷やかましくなつたので、書肆は万一をおもんぱかつて、直接に警保局長の意見を確めに行つた。
『煤煙』の序 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)