光源氏ひかるげんじ)” の例文
光源氏ひかるげんじなどはどうも理想の人物で当時の歴史を読んだ者にはこういう男子の存在を信ぜられません。昔から女には男を書く事がむずかしいのでしょう。
産屋物語 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
光源氏ひかるげんじあおいうえの行動はまさしくその時代の男女の生活と心理の方則を代表するものとも考えられる。
科学と文学 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
光源氏ひかるげんじ、すばらしい名で、青春を盛り上げてできたような人が思われる。自然奔放な好色生活が想像される。しかし実際はそれよりずっと質素じみな心持ちの青年であった。
源氏物語:02 帚木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
それやこれやの事から世間では誰いうともなく好色本こうしょくぼん草双紙類の作者の中でもとりわけ『偐紫田舎源氏』の作者柳亭種彦は光源氏ひかるげんじの昔にたとえて畏多おそれおおくも大御所様大奥の秘事を
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
光源氏ひかるげんじのやうな兄の源吉とは、どう折合をつけて見ても、血を分けた兄弟とは思はれません。
更級日記さらしなにっき』の著者は、東国の田舎いなかにいた娘の時代から文学書を読んで、どうか女に生れた上は『源氏物語』の夕顔ゆうがお浮舟うきふねのような美しい女になって少時しばらくでも光源氏ひかるげんじのようななさけある男に思われたいと
離婚について (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)