先達而せんだつて)” の例文
先達而せんだつて御寸札ならびに論語到来、其御返事先月廿日ごろいたし、大坂便にさし出候。今度御書に而は、右本御恵賜被下候由扨々忝奉存候。いよいよ珍蔵可仕候。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
又お前もどの顔で逢ふつもりか。先達而せんだつてからしきりに手紙を寄来よこすが、あれは一通でも開封したのは無い、来ればすぐに焼棄てて了ふのだから、以来は断じて寄来さんやうに。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
先達而せんだつて伊沢話に、津軽屋へ便御座候家、大坂筑前屋と申に御座候由、某島それがししまとやら承候而忘れ申候。只今も其家より便御座候はば、伊沢より被申下候様御頼可被下候。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
私もう決して先達而せんだつてのやうな事は再び申上げませんから。といらしつて下さいましな
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
壽阿彌はし此火事に姪の家が燒けたら、自分は無宿になる筈であつたと云つてゐる。「難澁之段愁訴可仕しうそつかまつるべき水府も、先達而せんだつて丸燒故難澁申出候處無之、無宿に成候筈」云々うんぬんと云つてゐる。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
先達而せんだつて御許おんもとにて御親類のやうに仰せられ候御婦人に御目に掛りまゐらせ候。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「廿二日。(九月。)微雨。福山内田養三より申来まうしきたる左如さのごとし。自分事御家内医官、東安同補、先達而せんだつて被仰付候由。尤医官次席之事。権少村上氏より申来如左。自分事在番被仰付置候処、御免被仰付候旨。」
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)