元締役もとじめやく)” の例文
一郡元締役もとじめやくたるものが通るとあれば、知らねばぜひもないが、知ったら四辺あたりをはらうくらいな威がなくてはならぬものだ。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
藩で云う元締役もとじめやくを勤めて大阪にある中津藩の倉屋敷くらやしきに長く勤番して居ました。れゆえ家内残らず大阪に引越ひきこして居て、私共わたしどもは皆大阪で生れたのです。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
一、新規の伝馬所には、元締役もとじめやく、勘定役、書記役、帳付け、人足指にんそくざし馬指うまざしなど——一役につき二人ほどずつ。そのうち、勘定役の儀は三人にてもしかるべし。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
役所詰元締役もとじめやくの同心で岡安喜兵衛とおっしゃる方だが、あの話をまに受けて、ここが極楽だなどと思ったら大間違えのすっとこどっこいだ、佐渡ヶ島の金掘りはこの世の地獄だってえことを云うだろう
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
暫時ざんじのことならば拝借仰付おおせつけられてもかろうと云うような曖昧な答をしたから、その笞を聞くやいなやすぐにその次の元締役もとじめやくの奉行の処に行て、今御家老ごかろう志摩殿に斯う云う話をした所が
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)