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兀々
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ごつごつ
ふりがな文庫
“
兀々
(
ごつごつ
)” の例文
下ってまた上り、一小隆起を踰えて、
兀々
(
ごつごつ
)
した嶄岩の上に攀じ上ると、そこが大沢岳の頂上であった。
大井川奥山の話
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
間口二間奥行二間半ほどの、木造小舎である、この小舎の後ろから、穂高岳は、水の綺麗に澄んでいる池を隔て、
鉄糞
(
かなくそ
)
で固めたように、ドス黒く
兀々
(
ごつごつ
)
として、
穹窿形
(
きゅうりゅうけい
)
の天井を
谷より峰へ峰より谷へ
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
振り返れば、間の岳(赤石山脈)や、悪沢岳の間から、赤石山が見える、そうして千枚沢の一支脈は、
兀々
(
ごつごつ
)
した石の翼をひろげて、自分たちの一行を、遥かに包もうとしている。
白峰山脈縦断記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
また
兀々
(
ごつごつ
)
とした石の筋骨が、投げ上げられて、空という空を突き抜いている、そうして深秘な碧色の大空に、
粗鉱
(
あらがね
)
を幅広に叩き出したような岩石の軌道が、まっしぐらに走っている。
谷より峰へ峰より谷へ
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
花が
発
(
ひら
)
くのと同じで、万象の色が真の瞬間に改まる、槍と穂高と、
兀々
(
ごつごつ
)
した
巉岩
(
ざんがん
)
が、先ず浄い天火に洗われて
容
(
かたち
)
を改めた、自分の踏んでいる脚の下の
石楠花
(
しゃくなげ
)
や
偃松
(
はいまつ
)
や、白樺の
稚
(
おさな
)
いのが
奥常念岳の絶巓に立つ記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
▼ もっと見る
峰
(
ピーク
)
にはもう登らないと決めたらしく、一と塊まりに小さく黒くなって休んでいる、私は
兀々
(
ごつごつ
)
した岩角に一人ぼっちに突っ立って、四方を見廻わした、未だ午前である、硫黄岳の硫烟は
槍ヶ岳第三回登山
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
花崗
(
かこう
)
の山に上りつけた人は、一枚岩の、
兀々
(
ごつごつ
)
とした石山を想像するであろうが、常念岳は大天井岳と同じく、石片の
乱次
(
しだら
)
なき堆積である、幾百千枚も積んで、上へ行くだけ
痩削
(
そうさく
)
して来る
奥常念岳の絶巓に立つ記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
日本アルプスでは、花崗岩や石英斑岩のような、堅硬で
兀々
(
ごつごつ
)
した火成岩塊に、火山岩の柔和な曲線や、斉整せる輪廓を配合して、ここに世にも稀なる線と色彩のシムフㇹニイを奏でている。
日本山岳景の特色
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
弱い紺色に日を含んだ萌黄色が、生暖かい靄のように漂っている、どこからか鶯が啼く、細くうすッぺらな、鋭利な刃物で、薄い空気の層を、つん裂いて、
兀々
(
ごつごつ
)
とした硬い石壁に突きあたる。
谷より峰へ峰より谷へ
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
兀
漢検1級
部首:⼉
3画
々
3画
“兀々”で始まる語句
兀々然