儒家じゅか)” の例文
だから主人がこの文章を尊敬する唯一の理由は、道家どうけで道徳経を尊敬し、儒家じゅか易経えききょうを尊敬し、禅家ぜんけ臨済録りんざいろくを尊敬すると一般で全く分らんからである。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
雞をり豚をふるい、かまびすしい脣吻しんぷんの音をもって、儒家じゅか絃歌講誦げんかこうしょうの声をみだそうというのである。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
大学頭だいがくのかみ紀ノ行親の家にも、近ごろ覆面の武士三名が押入った。妻女を暴行しようとしたのに行親は手むかッて、斬り殺された。——儒家じゅかの良師範といわれていた行親だけにその死はいたく惜しまれた。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
禅家ぜんけでも儒家じゅかでもきっと根本的にこの問題をつらまえる。いくら自分がえらくても世の中はとうてい意のごとくなるものではない、落日らくじつめぐらす事も、加茂川をさかに流す事も出来ない。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)