僧侶ぼうさん)” の例文
彼は自分の身の周囲まわりにある年長としうえの友達や先輩ばかりでなく、ずっと遠い昔に歌集や随筆をのこして行った徳の高い僧侶ぼうさんの生涯なぞを考え
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
彼女が未だこの下宿へ通って来る頃には、あの僧侶ぼうさん尼僧あまさんとの伝説に関したものを見つけて置いてそれを彼女に読ました事を思い出した。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ず自己の墓を築いて置いて粗衣粗食で激しく労働しつつ無言の行をやるというあの修道院の内の僧侶ぼうさん達に自分の身を譬えて見たこともある。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
あらしは到頭やって来た。彼自身の部屋をトラピストの修道院にたとえ、彼自身を修道院の内の僧侶ぼうさんに譬えた岸本のところへ。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
春蚕はるこが済む頃は、やがて土地では、祇園祭ぎおんまつりの季節を迎える。この町で養蚕をしない家は、指折るほどしか無い。寺院おてら僧侶ぼうさんすらそれを一年の主なる収入に数える。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
由緒ゆいしょのある大きな寺院おてらへ行くと、案内の小坊主が古い壁に掛った絵の前へ参詣人さんけいにんを連れて行って、僧侶ぼうさんの一生を説明して聞かせるように、丁度三吉が肉体から起って来る苦痛は
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
僧侶ぼうさんのような禁欲の生活——寂しい寂しい生活——しかし、それより外に、養うべき妻子を養いながら、同時にこの苦痛を忘れるような方法は先ず見当らなかった。このまま家を寺院精舎しょうじゃと観る。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)