倉卒そうそつ)” の例文
(あまり倉卒そうそつにとり出すので、頭髪とうはつをすく小さいくしが、まつわってとび出したこともある)ハンケチで鼻をしっかりとおさえる。
(新字新仮名) / 新美南吉(著)
美奈子が、顫える声で、それに答えると、支配人は幾度もびながら、倉卒そうそつとして去った。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
一、貴国もまたかくの如き災害にかかり給わんとす。およそ災害は倉卒そうそつに発するものなり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
若い男は竜之助の方に向き直り、倉卒そうそつの場合ながら折屈おりかがみも至って丁寧であります。
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「それは、どうも、遠い処を大変でした」と言ったが、いくら倉卒そうそつの際でも女を送ってくるには五人や十人の従者は来ているだろう、それは何処にいるだろうと思った。「そして、他の方は」
竇氏 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
いふがごとし、これ倉卒そうそつなり
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)