伝馬町でんまちょう)” の例文
旧字:傳馬町
そのも一つ先になると、浅草だめといって不浄の別荘地——これは伝馬町でんまちょうの牢屋で病気にかかったものを下げる不浄な世界——そのお隣りが不夜城の吉原です。
「兄の香三郎かさぶろうが、親分の縄に掛って、伝馬町でんまちょうに送られてから、世間の人は私を相手にしてくれません」
重罪犯の夫婦が伝馬町でんまちょうの牢内へはいった事がある、もとより男牢と女牢とは別々であるが、ある夜女牢の方に眠りいたる女房の元へ夢の如く、亭主が姿を現わし、自個おれ近々ちかぢか年が明くから
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
一方の川のはしは材木の置場である、何でも人の噂によると、その当時取払とりはらいになった、伝馬町でんまちょうの牢屋敷の木口きくち此処ここへ持って来たとの事で、中には血痕のある木片きぎれなども見た人があるとのはなしであった
白い蝶 (新字新仮名) / 岡田三郎助(著)
伝馬町でんまちょうの大牢まで近いから、千両箱を五つ持って、どこへも行けるわけはねえ、幸い用意した河童の塩漬、あの中へ隠して、小判の塩漬などは良い智恵じゃありませんか