仰反あおむけ)” の例文
見よ、床の上には小間使が仰反あおむけに倒れて気絶している。そしてその傍には、既に空になった黒天鵞絨ビロウド張の小筐が落ちていたではないか。
謎の頸飾事件 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
兵馬はいきなり燗徳利かんどっくりを取ると、盃洗はいせんへあけてぐぐぐと呷りつけたが、——どう思ったかそのままごろりと仰反あおむけに倒れて
初午試合討ち (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
しまいに仰反あおむけになって、どうやらこうやら笑い止んだとたん、みちが例の証明を出した。
山椿 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
まことにあっけないもので、三人で晩飯を食べているとき、彼女はとつぜん茶碗とはしほうりだして、仰反あおむけさまにひっくら返った。ふざけているようにもみえたが、ともかくも寝床を敷いて寝かした。
ゆうれい貸屋 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)