仙骨せんこつ)” の例文
仙骨せんこつを帯びだしたご老体は風流韻事の感懐を託したみそひと文字、血のけの多いあで人たちはいわずと知れた恋歌。
その時の妙に仙骨せんこつを帯びた顔をありあり見るように思うが、これはあるいは私の錯覚であるかもしれない。
亮の追憶 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
さながら、金粉の薄雲の中に立ったおもむきがある。われら仙骨せんこつを持たない身も、この雲はかつ踏んでも破れぬ。その雲をすかして、四方に、七宝荘厳しっぽうそうごん巻柱まきばしらに対するのである。
七宝の柱 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
仙骨せんこつを帯びているようなところもあるが、どうもまだ、はっきりはわからない。まっくろい口髭くちひげは立派だが、ひどい近眼らしく、眼鏡の奥の小さい赤い眼は、しょぼしょぼしている。
パンドラの匣 (新字新仮名) / 太宰治(著)
一人が仙骨せんこつという号をつけると、みな骨という字を用いた号をつけようじゃないかという動議が出て、破骨はこつだの、洒骨しゃこつだの、露骨ろこつだの、天骨てんこつだの、古骨ここつだのというおもしろい号ができて
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
仙骨せんこつは先生に熱中しているが、実におかしくって話にならん」
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)