今朝方けさがた)” の例文
それに今朝方けさがたからなんだか風邪かぜにかかったのですか、頭痛がして苦しいものですからこんなふうで失礼します
源氏物語:04 夕顔 (新字新仮名) / 紫式部(著)
それがためか、あらぬか、先生は今朝方けさがた御病中の髪を結直ゆいなおしておられる時突然卒中症はやうちかたに襲われ
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
手頃な屏風びょうぶがないので、ただ都合の好い位置をって、何のかこいもない所へ、そっと北枕に寝かした。今朝方けさがた玩弄おもちゃにしていた風船玉を茶の間から持って来て、御仙がその枕元に置いてやった。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
小雨そぼ降る七夕の昨夜ゆうべ久しく隠まって置いたかのお園は何処いずこへか出奔しゅっぽんしてしまったものと見え今朝方けさがた寝床は藻抜もぬけの殻となり、残るは唯男女が二通の手紙ばかりという事である。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「じゃ、偽名は橘にしよう。下の家主さんへもそう言って置くぜ。それからちょっと芝の家へ電話をかけて見よう。」重吉は階下したの電話を借りて、今朝方けさがたまでいた硝子屋ガラスやへ様子を聞合ききあわすと
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)