今夕こんゆう)” の例文
「へんなこともあるものじゃ——まさしゅうこれは家康公いえやすこうのお手紙で、おまけに今夕こんゆうのお日附ひづけとなっている」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ゆったりとおちついたうちにも、村内そんない戸々ここのけはいは、おのがじしものせわしきありさまに見える。あす二十二日がこの村の鎮守祭礼ちんじゅさいれいの日で、今夕こんゆうはその宵祭よいまつりであるからであろう。
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
いや解らない。軽蔑けいべつの結果はあるいは解ってるかも知れないが、軽蔑の意味は君にも君の細君にもまだ通じていないよ。だから君の今夕こんゆうの好意に対して、僕はまた留別りゅうべつのために、それを
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いいえ、あなたの御誠意に感じて、兄が、会わねば悪いとは云い出しましたが……それも今夕こんゆうではございません。きょうは、この雨さに、臥床ふしどの中におりますから、他日、こちらから迎えを
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ふいに今夕こんゆう浜松城の大広間おおひろまでなにやらみなさまのこ評定ひょうじょう、——と見えますると、余一余一! こう万千代さまのおびです。はッと、おんまえにかしこまりますと、すなわち、このご状筥じょうばこ——
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)