井戸傍いどばた)” の例文
隣家から酒気を含んだ高声たかごえが聞えて来た。子は夕暮前に、井戸傍いどばたで隣家の主人がとりをつぶしていたのを眼に浮べた。
(新字新仮名) / 横光利一(著)
それからまた庭に這入はいって、餅搗もちつき用のきねを撫でてみた。が、またぶらぶら流し元まで戻って来るとまないたを裏返してみたが急に彼は井戸傍いどばた釣瓶つるべの下へした。
笑われた子 (新字新仮名) / 横光利一(著)
彼は立って井戸傍いどばたへ足を洗いに行った。それから疲れていたので姪の傍にくっついて寝たが、姉が見ていなかったので姪の手を引っぱったり鼻をつまんだりしてなかなか眠つかれなかった。
御身 (新字新仮名) / 横光利一(著)