五衣いつゝぎぬ)” の例文
人々ひとみを凝らして之を見れば、年齒としは十六七、精好せいがうの緋の袴ふみしだき、柳裏やなぎ五衣いつゝぎぬ打ち重ね、たけにも餘る緑の黒髮うしろにゆりかけたる樣は、舞子白拍子の媚態しなあるには似で
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
たけなす髪とよじれ合いもつれ合いつゝ床を引きずって行く間、左大臣の装束とその人の五衣いつゝぎぬとが一つの大きなかたまりになって、さや/\と鳴りわたりながら階隠はしがくしの方へうねって行くのに
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)