乱痴気らんちき)” の例文
だが、茶の味をで合うなどはおろか、陸羽りくう茶経ちゃきょうひとつ読んだことのないのが多い。——茶の会は、とどのつまり、ただの乱痴気らんちきな大酒宴で終ってしまった。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
宿しゅくは、このこわいお客さまにおそれをなして、息をころしているが、本陣の鶴岡つるおか、ことに、この奥の部屋部屋は、いやもう、割れっかえるような乱痴気らんちきさわぎなので。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
実際に泥酔して乱痴気らんちき騒ぎを演じたのは諸君ばかりのように見受けたが、違っていたか知らん。ついでにお尋ねするが一体、諸君は講演の第二日の報告を、何と書かれるつもりですか。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
アダムスもつり込まれて、気が違って、四本の足が、乱痴気らんちき乱痴気らんちき、踊り出した。
江川蘭子 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
一年ひととせ、藤原純友が、伊予ノ国へ帰るというので、友人ども大勢が、一舟いっしゅうさおさし、江口の遊里で、盛大な壮行の宴をひらいて、夜もすがら大乱痴気らんちきをやって別れたことがある。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
などと、西曲輪のうちへ、城下の遊女あそびめたちを招き入れ、むしろ、この方がよかったように、宵から夜半まで乱痴気らんちき騒ぎをしたあげく、やがてどれもこれも、酔いつぶれて、沼のように眠ってしまった。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)