主取しゅうど)” の例文
別に主取しゅうどりもせず従来の本領に蟄伏ちっぷくしている武士の数が、やはり浪人の数くらい、事によるとそれよりも多くあったのである。
名字の話 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「それはそうだ。武士としては、主人を失って浪人しているくらいみじめなものはない。主取しゅうどりさえできれば、何よりけっこうだ。時にお前は」
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
じつはその風説を耳にしてから、ぜひ一度お前に会っていてみようと思っていたところだ。今聞けば、さる西国筋の御大身に主取しゅうどりをしたと言いながら、わしにその名を明そうともしない。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)