丹生にゅう)” の例文
祖父大納言頼宣よりのぶに似て、剛毅ごうきで果断、しかし丹生にゅう三万石の貧乏家来をひきいて、生涯を終るかにおもわれた彼。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いずれも以前蜥蜴を崇拝した遺風であろう(紀州日高郡丹生にゅう川で、百年ばかり昔淋しい川を蜥蜴二匹上下に続いておよぎ遊ぶを見、怖れて逃げ帰りしを今に神異と伝え居る)
一つは氷坂ひさかと呼ぶかまのことであります。郡は丹生にゅうで村は吉野であります。福井や武生の陶器屋に行くと、この窯のものをよく見かけます。壺やかめが主で、黒の胴に白の流釉ながしぐすりを垂らします。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
紀州大納言頼宣よりのぶの孫、貞光の第三男、まだ一介の部屋住みだが、越前丹生にゅうの地に三万石を領して、近年、将軍綱吉に謁見し、その人もなげな天性を愛顧されて、幼名源六を新之助と改め、加冠かかんして
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)