両掛りょうがけ)” の例文
旧字:兩掛
この一大記録は明治八年二月に至るまで、たもつさんが蔵していた。然るに保さんは東京とうけいから浜松県に赴任するに臨んで、これを両掛りょうがけに納めて、親戚の家に託した。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「わからないうちにそれが、その茶色のしみが黒っぽくなってくる」笠と両掛りょうがけを置き、腰をおろしながら、「——そうなったらおまえさん、もうまるで、まるで」
雪の上の霜 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
黒いのは一箇の両掛りょうがけで、浅黄あさぎ模様の被布おおいをした長櫃ながもちあとに一箇、れも人夫にんぷかついで
菜の花物語 (新字新仮名) / 児玉花外(著)
旅籠へ泊った友蔵は、両掛りょうがけからこっそり地図を出し、あらためて仔細に調べ出した。
大捕物仙人壺 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)