不吉ふきち)” の例文
今日はわけても霧の深い日で、ポー、ポーとならす笛の音も、何となく不吉ふきちなしらせをするように聞かれるのであった。
おさなき灯台守 (新字新仮名) / 竹久夢二(著)
ふくらしてアヽ其樣な貧乏神びんばふがみかどへ寄せるも不吉ふきちなり早く退出せ追出せとつぶやきながらそこ/\に奧の方へぞ入にける
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
家庭に病人でも出来たか、子供が大怪我おほけがでもしたか、婦人と子供ばかりを残して来た家庭に何か不吉ふきちな危難でも生じたかと、平生から余り呑気のんきでない神経質の男はにはかに心配でならなかつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)