下品げぼん)” の例文
小宮君も注意したように恋の句、ことに下品げぼんの恋の句に一面滑稽味こっけいみを帯びているのがある。これは芭蕉前後を通じて俳諧道に見らるる特異の現象であろう。
俳諧の本質的概論 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
派手なやうでも、やはり下品げぼんだ。邪道、と言つていいかも知れない。宿命に対する諦観が無い。伝統に就いての教養が無い。めくら蛇におぢず、とでもいふやうな形だ。
お伽草紙 (新字旧仮名) / 太宰治(著)
或時病気でなやんでいたが、夢に墨染の衣を着た坊さんが来て、青白二茎の蓮華をもって来て往生の時と極楽の下品げぼんから上品じょうぼんに進むというようなことを教えて行ったという奇瑞がある。
法然行伝 (新字新仮名) / 中里介山(著)
まどひなくて経ずする我と見たまふか下品げぼんほとけ上品じやうぼんほとけ
みだれ髪 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
彼女は「九品くほん蓮台の中には、下品げぼんといふとも」
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
涼しさは下品げぼん下生げしょうの仏かな
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
派手なやうでも、やはり下品げぼんだ。邪道、と言つていいかも知れない。宿命に對する諦觀が無い。傳統に就いての教養が無い。めくら蛇におぢず、とでもいふやうな形だ。
お伽草紙 (旧字旧仮名) / 太宰治(著)
信じる事は、下品げぼんですか。信じる事は、邪道ですか。どうも、あなたがた紳士は、信じない事を誇りにして生きてゐるのだから、しまつが悪いや。それはね、頭のよさぢやないんですよ。
お伽草紙 (新字旧仮名) / 太宰治(著)
信じる事は、下品げぼんですか。信じる事は、邪道ですか。どうも、あなたがた紳士は、信じない事を誇りにして生きてゐるのだから、しまつが惡いや。それはね、頭のよさぢやないんですよ。
お伽草紙 (旧字旧仮名) / 太宰治(著)