上厠じょうし)” の例文
曳くばかりが受け持ちではない飲食起臥きが入浴上厠じょうし等日常生活の些事さじわたって面倒を見なければならぬしこうして佐助は春琴の幼時よりこれらの任務を担当し性癖せいへき
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
ところが私が外出して帰ってくると、あるいは夜寝て朝起きて見ると、小鳥の姿はもう見えなくなっている。上厠じょうしして戻ってきたとたんに、消えてなくなっていたこともあった。
庭の眺め (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
しにまいるとは申し兼ねます、また上厠じょうしなど致すばあいでございましても
明暗嫁問答 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
七時半より七時四十分まで、女中に茶菓を命じ、風月の最中もなかを二箇、お茶を三碗きっした。七時四十分より上厠じょうし約五分にして、部屋へ戻った。それより九時十分頃まで、編物あみものをしながら物思いにふけった。
陰獣 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
させまいと努める様ははたの見る目もいじらしかった春琴もまた余人の世話では気に入らず私の身の周りの事は眼明きでは勤まらない長年の習慣ゆえ佐助が一番よく知っていると云い衣裳の着附けも入浴も按摩あんま上厠じょうしもいまだに彼を
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)