三箇みっつ)” の例文
わきの袋戸棚と板床の隅に附着くッつけて、桐の中古ちゅうぶるの本箱が三箇みっつ、どれも揃って、彼方むこう向きに、ふたの方をぴたりと壁に押着おッつけたんです。……
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ことごとく人々を先に出しやって一渡り後を見廻すと、八升入の牛乳鑵が二つバケツが三箇みっつ残ってある。これは明日に入用の品である。
水害雑録 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
宇津木兵馬もこの和尚に相見しょうけんの時から、三箇みっつの驚きを経過しました。慢心和尚は宇津木兵馬からその身の上と目的を聞いて後、例の慢心は持ち出さないでこう言いました。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
まして小兵こひょうながら健啖けんたんな米友が、この場合に五箇いつつの握飯を三箇みっつだけ食べて、あとを残すというようなことがあろうとも思われませんのです。けれども水は尽きてしまいました。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)