三戸前みとまえ)” の例文
それは理由のある理窟だから、祖父はうなずいた。けれど、三戸前みとまえ分なければというのには不服だった。
廻船問屋の店は、さかい唐人町とうじんまちの海岸にあって、三戸前みとまえの蔵と、何十そうの持船がある。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
金貸かねかしをする、質屋をする、富豪ものもちと云われるように成って、霊岸島川口町れいがんじまかわぐちちょうへ転居して、はや四ヶ年の間に前の河岸かしにずうっと貸蔵かしぐらを七つも建て、奥蔵おくぐら三戸前みとまえあって、角見世かどみせで六間間口の土蔵造どぞうづくり
商売として立っても男児の仕事は大いにあろうが、十間間口を五十間に広げ、三戸前みとまえの土蔵を百棟の土蔵に増してみたところで知れたものではないか。一国一城の主となるのとは大へんおもむきがちがう。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)