三四日さんよっか)” の例文
実際彼女は三四日さんよっか前に来た時のように、編上あみあげだのたたみつきだのという雑然たる穿物はきものを、一足も沓脱くつぬぎの上に見出みいださなかった。患者の影は無論の事であった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
敬太郎は一人でこう考えて、どこへでも進んで行こうと思ったが、また一方では、もうすっぽ抜けのあとの祭のような気がして、何というあてもなくまた三四日さんよっかぶらぶらと暮した。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それから三四日さんよっかの間というもの自分の頭は絶えず嫂の幽霊に追い廻された。事務所の机の前に立って肝心かんじんの図を引く時ですら、自分はこのたたりを払い退ける手段を知らなかった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
けれども三四日さんよっか等閑なおざりにしておいたとがたたって、前後の続き具合がよく解らなかった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)