三七日さんしちにち)” の例文
山城屋の夫婦はいつまでも子のないのを悲しんで、近所の不忍しのばずの弁天堂に三七日さんしちにちのあいだ日参にっさんして、初めて儲けたのがお此であった。
半七捕物帳:13 弁天娘 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
衆曰くかかる尤物べっぴんは五百人に愛さるるも奇とするに足らずと、三七日さんしちにち経て長者大歓会をし、彼女を妙光と名づけた。
三七日さんしちにちが済むまでは、お孝は身も心も自分のもののようではなかった。時三が心配して、坐っていればいい、なにもするなと庇って呉れ、じっさいまたそう働くこともなかった。
寒橋 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
それが、三七日さんしちにちの間、お籠りをして、今日が満願と云うに、ふと夢を見ました。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
阿修羅河の岸なる夜叉神社に参籠さんろうし、三七日さんしちにち
鬼桃太郎 (新字新仮名) / 尾崎紅葉(著)
しかしこの領分ざかいを越えましたなら、きょうから数えて二十一日、娘の三七日さんしちにちの済むまでは、どうぞ其処に御逗留なさるように願います。
半七捕物帳:33 旅絵師 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
きしなる夜叉神社やしやじんじや參籠さんろうし、三七日さんしちにち
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
貧と病いとにさいなまれている父を救うがために、彼女はふだんから信仰する観音さまへ三七日さんしちにちの夜まいりを思い立って、八月の末から夜露を踏んで毎晩清水へかよった。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
三七日さんしちにちのあいだは外出は勿論、何者にも御対面無用とのことじゃ。右様みぎようの次第じゃで、見識らぬ者どもは当分御門内へ入るるなと大殿からも申し渡された。気の毒じゃが、そちも当分は出入りするな
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)