一揖いっしゅう)” の例文
筒井は腰を折って一揖いっしゅうした。男もちょっと頭をこころもち下げるようにして、それぞれの渡舟に乗りこんだ。
津の国人 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
老婆をずいと押しやりながら、あっさりと一揖いっしゅうしていいました。
翌日あくるひ、四年前と同じように、淀の川尻から舟に乗ったが、ふしぎに生絹すずしにうやうやしく一揖いっしゅうをするものがあった。占うことを自分の好きでやる、例の愁いのある額をしている男であった。
荻吹く歌 (新字新仮名) / 室生犀星(著)