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ほしかわよいち
わたくしは
遠江浜松にご
在城の、
徳川家康さまのおん
内でお
小姓とんぼ
組のひとり、
万千代づきの
星川余一というものでござります
石見守は、一
顆のあかい
鞠をだして万千代の手にわたした。すると
検証の
鐘巻一火も、おなじように一つの白い鞠を
星川余一の手にあずける。
ただ、
銀泥色絵の
襖のまえには、
蒔絵の
硯蓋の
筆が一本落ちてあって、そこにいるはずの
咲耶子のすがたも見えず、お
小姓星川余一のかげも
見当らなかった。