“びょうぜん”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
眇然50.0%
廟前50.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
世の中に自分の母の心のうちを見抜いたものは一人いちにんもない。自分の母を見抜かなければ自分に同情しようはずがない。甲野さんは眇然びょうぜんとして天地のあいだかかっている。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この「ガ」が、藕糸孔中ぐうしこうちゅう蚊睫ぶんしょうの間にも這入はいりそうなこの眇然びょうぜんたる一小「ガ」が、眼のうちの星よりも邪魔になり、地平線上に現われた砲車一片の雲よりもおそろしい。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
英吉利刈イギリスがりの新式な頭は、眇然びょうぜんたる「過去」の前に落ちた。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その一の望みだにかのうなれば、吾々共一統、亡主の廟前びょうぜんに於て、人臣の義を果し、公儀を初め奉り、ひろくは天下万民に罪を謝して、泉下せんかに無用の骨を埋めて已むの所存。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
綽空は、胸の底から湧き出た声と一緒に、廟前びょうぜんの床にひれ伏していた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)