“にじゅうまわし”の漢字の書き方と例文
語句割合
二重廻100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「先生だろう。」と駒田はふすまの方を見返りながら、少し席を譲る間もなく、梯子段はしごだん跫音あしおとがして、パナマ帽を片手に、ねずみセルの二重廻にじゅうまわしを着たまま上って来たのは、清岡進である。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
コートのひもを解きながら二階へ上ると、重吉も今しがた帰って来たばかりと見えて、帽子と二重廻にじゅうまわしとは壁に掛けてあったが、襟巻えりまきも取らず蹲踞しゃがんで火鉢の消えかかった火を吹いていた。
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
帽子も二重廻にじゅうまわし背恰好せかっこうも後から見るとまるで同じなんだけれど、違った人なのさ。わたし、あんまり気まりがわるいんで、失礼とも何とも言えないで、真赤まっかになってただ辞儀じぎをしたわ。
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)