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どろえのぐ
手づくねのごく単純な
土偶を素焼きにし、それへ荒く
泥絵具を塗っただけのものである。
愈々昨日は
愚なり玉の上に
泥絵具彩りしと何が何やら独り後悔
慚愧して、聖書の中へ
山水天狗楽書したる児童が日曜の朝
字消護謨に気をあせる
如く、周章
狼狽一生懸命
刀は手を離れず
額には
歌舞伎芝居の御殿の背景みたいに、
幾つもの部屋を打抜いて、極度の遠近法で、
青畳と
格子天井が遙か向うの方まで続いている様な光景が、
藍を主とした
泥絵具で毒々しく塗りつけてあった。