“とおぼえ”の漢字の書き方と例文
語句割合
遠吠100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ねつかぬ乳呑児ちのみごおどすたよりとなるをも知らず、今こそはおのれの天地なれといい顔に、犬の高き遠吠とおぼえを火の見やぐらに響かすとも知らず、すさまじき風の吹き来りて
一夜のうれい (新字新仮名) / 田山花袋(著)
私はいつか映画でオットセイの群棲ぐんせいを見たことがある。ひれのような手足でバタバタはねる恰好かっこうや、病牛の遠吠とおぼえのような声を思い出すうちに本当に嘔吐おうとをもよおして来た。
黒猫 (新字新仮名) / 島木健作(著)
不意をくらって倒れんばかりによろけた佐藤は、跡も見ずに耳を押えながら、猛獣の遠吠とおぼえを聞いたうさぎのように、前に行く二、三人の方に一目散にかけ出してその人々をたてに取った。
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)