“でんつういん”の漢字の書き方と例文
語句割合
伝通院100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
なんでも、高等学校の確か二年生であった頃ですが、若杉さんは、ある晩、春日かすが町から伝通院でんつういんの方へ富坂とみざかを登っていたそうです。
若杉裁判長 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
狐の人をばかす事、伝通院でんつういん裏の沢蔵稲荷たくぞういなり霊験れいげんなぞ、こまごまと話して聞かせるので、私は其頃よく人の云うこっくり様の占いなぞ思合せて、なかばは田崎のゆうくみして
(新字新仮名) / 永井荷風(著)
気味悪い狐の事は、下女はじめ一家中いっかちゅうの空想から消去きえさって、よるおそく行く人の足音に、消魂しく吠え出す飼犬の声もなく、木枯の風が庭の大樹だいじゅをゆする響に、伝通院でんつういんの鐘の音はかすれて遠く聞える。
(新字新仮名) / 永井荷風(著)