“おおむこう”の漢字の書き方と例文
語句割合
大向100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
幕開まくあきうたと三味線が聞え引かれた幕が次第にこまかく早める拍子木のりつにつれて片寄せられて行く。大向おおむこうから早くも役者の名をよぶ掛け声。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
この終局フィナーレの素晴らしさ——幕切れに大向おおむこううならせるファウスト博士の大見得——この意表を絶した総懺悔ゲネラル・バイヒテの形容を見給え。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
梯子段の二、三段を一躍ひととびに駈上かけあがって人込みの中に割込むと、床板ゆかいたななめになった低い屋根裏の大向おおむこうは大きな船の底へでも下りたような心持。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
先刻さっきから三人四人と絶えず上って来る見物人で大向おおむこうはかなり雑沓ざっとうして来た。前の幕から居残っている連中れんじゅうには待ちくたびれて手をならすものもある。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)