トップ
>
寒気
>
さむけ
ふりがな文庫
“
寒気
(
さむけ
)” の例文
旧字:
寒氣
お君はその時に身のうちに
寒気
(
さむけ
)
を感じて、いつのまにか、恥かしい
寝衣姿
(
ねまきすがた
)
で、奥庭の池のほとりに立っている自分を見出しました。
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「いや、ルーブル紙幣の名を聞いただけで、
寒気
(
さむけ
)
がしてぶるぶると
慄
(
ふる
)
えが出る。そんなものを紙幣で
頂
(
いただ
)
こうなど
毛頭
(
もうとう
)
思っとらん」
地軸作戦:――金博士シリーズ・9――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
臭
(
くさ
)
いの
汚
(
きた
)
ないのというところは通り越している。すべての光景が文学的頭の矢野には、その
刺激
(
しげき
)
にたえられない思いがする、
寒気
(
さむけ
)
がする。
廃める
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
将門は、
肚
(
はら
)
の中で、かぶとを脱いだ。と同時に、不死人が都においての神出鬼没ぶりを思い出して、急に、酔が
寒気
(
さむけ
)
に変った。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ぞっとして
寒気
(
さむけ
)
を覚えながら、葉子は
闇
(
やみ
)
の中に目をさました。恐ろしい凶夢のなごりは、ど、ど、ど……と激しく高くうつ心臓に残っていた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
▼ もっと見る
突然彼は身震いをし、
寒気
(
さむけ
)
に襲わるるのを感じた。彼は司教の
燭台
(
しょくだい
)
にともってる
蝋燭
(
ろうそく
)
に照らされたテーブルに
肱
(
ひじ
)
をかけて、ペンを取り上げた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
ああ云う風に高い熱の差し退きが激しく、
寒気
(
さむけ
)
がして
顫
(
ふる
)
いが来ると云うのは、恐らく赤痢だけでなく、肝臓膿瘍を併発したとしか考えられない。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
急に
寒気
(
さむけ
)
がしてきた。惨めな室の中を見廻してから、床を敷いて寝た。身動きも出来ないほどの疲労を全身に覚えた。
反抗
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「なんでもないの。ただ、熱の出る前が、いやなのよ。頭がちょっと痛くなって、
寒気
(
さむけ
)
がして、それから熱が出るの」
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
騒ぎのあった翌日、その
狼藉
(
ろうぜき
)
者一党が揃って
詑
(
わ
)
びにきたが、その時、父はすこし
寒気
(
さむけ
)
がするといっていたが、左の手の甲が紫色に
腫
(
は
)
れてるだけだった。
旧聞日本橋:14 西洋の唐茄子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
それを考えただけでも、ぞっと
寒気
(
さむけ
)
がして、歯ががたがた鳴りだす。わたしはねむることができなかった。やがてバルブレンも、また帰って来るだろう。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
何しろ僕はこれを見ると同時に一種の
寒気
(
さむけ
)
を覚えて
恐
(
こわ
)
いとも
哀
(
かな
)
しいとも言いようのない思が胸に
塞
(
つか
)
えてちょうど、鉛の
塊
(
かたまり
)
が胸を
圧
(
お
)
しつけるように感じました。
牛肉と馬鈴薯
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
この夕方の家の中の光景は
寒気
(
さむけ
)
がするほど悲しいものであった。若い女房たちはあちらこちらにかたまって、それはまた自身たちの悲しみを語り合っていた。
源氏物語:09 葵
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
彼はこの恐ろしい雲鶴青磁を見とどけた時の
寒気
(
さむけ
)
が、しばらく背中にもむねからも去らないことを知った。
陶古の女人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
もう、とっぷりと暮れてしまった障子の外の闇のかなたに、白木の獄門台が、ずらりと並んでいることを考えると、水のような
寒気
(
さむけ
)
が全身を流れるのであった。
乱世
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
その顔色が
真蒼
(
まっさお
)
にでもなっていたものか、
相方
(
あいかた
)
も驚きながら、
如何
(
どう
)
したのかと訊ねられたが、その場では別に何も
談
(
はな
)
さず、風邪の気味か何だか少し
寒気
(
さむけ
)
がするといって
一つ枕
(新字新仮名)
/
柳川春葉
(著)
卯一郎 ちよつと、失礼ですが、隣りの部屋に家内もやすんでゐるんですが、さつきから頭痛がするとか
寒気
(
さむけ
)
がするとか云つてるやうです。ひとつ、お
序
(
ついで
)
にどうか……。
医術の進歩
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
下は
毛布
(
けっと
)
一枚敷かぬ堅い床板なので、腰骨や肩先が痛くなる。深夜の
寒気
(
さむけ
)
にブルブル震えて来る。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
利平は、
咽喉
(
のど
)
がつまりそうであった。それに熱でも出て来た
故
(
せい
)
か、ゾッと
寒気
(
さむけ
)
が背筋を走った。
眼
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
私
(
わたくし
)
はますます
全身
(
ぜんしん
)
に
寒気
(
さむけ
)
を
感
(
かん
)
じ、
心
(
こころ
)
の
中
(
うち
)
では
逃
(
に
)
げて
帰
(
かえ
)
りたい
位
(
くらい
)
に
思
(
おも
)
いましたが、それでもお
爺
(
じい
)
さんが一
向
(
こう
)
平気
(
へいき
)
でズンズン
足
(
あし
)
を
運
(
はこ
)
びますので、
漸
(
やっ
)
との
思
(
おも
)
いでついて
参
(
まい
)
りますと
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
大阪ぼんちが泥棒ごっこをして遊んでいるようだった。見ている間は
寒気
(
さむけ
)
を感じつづけた。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
三頭
(
みつ
)
も
四頭
(
よつ
)
も一斉に吠え立てるのは、
丁
(
ちょう
)
ど
前途
(
ゆくて
)
の
浜際
(
はまぎわ
)
に、また人家が七八軒、浴場、
荒物屋
(
あらものや
)
など
一廓
(
ひとくるわ
)
になって
居
(
い
)
るそのあたり。
彼処
(
あすこ
)
を
通抜
(
とおりぬ
)
けねばならないと思うと、今度は
寒気
(
さむけ
)
がした。
星あかり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
初
(
はじ
)
め
彼
(
かれ
)
は
寒気
(
さむけ
)
を
身
(
み
)
に
覚
(
おぼ
)
え、
吐気
(
はきけ
)
を
催
(
もよお
)
して、
異様
(
いよう
)
な
心地悪
(
ここちあ
)
しさが
指先
(
ゆびさき
)
にまで
染渡
(
しみわた
)
ると、
何
(
なに
)
か
胃
(
い
)
から
頭
(
あたま
)
に
突上
(
つきあ
)
げて
来
(
く
)
る、そうして
眼
(
め
)
や
耳
(
みみ
)
に
掩
(
おお
)
い
被
(
かぶ
)
さるような
気
(
き
)
がする。
青
(
あお
)
い
光
(
ひかり
)
が
眼
(
め
)
に
閃付
(
ちらつ
)
く。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「ぼくは
寒気
(
さむけ
)
がしてしようがない。熱があるようだ。少し休ませてもらうよ。」
怪人二十面相
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
反動的な
嫌悪
(
けんお
)
の情が彼の総身に
寒気
(
さむけ
)
を立てさすであろうとは思ったが、それと同時に、何か
腹癒
(
はらい
)
せに彼女をさんざん
弄
(
もてあそ
)
んでやりたいような悪魔的な野心も
芽生
(
めば
)
えないわけに行かなかった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
寒気
(
さむけ
)
を覚えて、襟をかき合はせたり、額に垂れ下つて来る頭髪をかき上げたりしながら、利根子がもう私などの知らぬうちに秋津に全身をぶちつけて行つてゐるやうな気がしてならなかつた。
青春の天刑病者達
(新字旧仮名)
/
北条民雄
(著)
胸が悪くなって、体がしびれ、ぞっと
寒気
(
さむけ
)
がし、眼がくらみ、やがてすぐばったりと倒れる。それから数週間も、なにもかも空虚で、真っ黒で、ひっそりしていて、虚無が宇宙全体を占める。
早すぎる埋葬
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
国民党の旗を立てて多勢の遠足隊が私の前を通つたのをも
半眠
(
はんみん
)
のやうな状態で意識してゐた。身に
寒気
(
さむけ
)
して目が
醒
(
さ
)
め、それからイーサルの川の方に下りて行つた。
此処
(
ここ
)
に来るとまた別様に寂しい。
イーサル川
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
梅 何だか
寒気
(
さむけ
)
がすると思つたら、もう毛虫がたかつてゐるんだよ。
続野人生計事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ゾッと
寒気
(
さむけ
)
がして、ハアクシャン! くしゃみが出た時は、もう風邪をひいているのと同じことで、お妙が、ああこの男は、何という立派な方であろう! と、一眼見て思ったとき、その時すでに
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
軽々とこそ揺すぶれば、波の中にて
寒気
(
さむけ
)
する
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
『そう、なんだか、
寒気
(
さむけ
)
がするの——』
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
「きみ、
寒気
(
さむけ
)
でもするんじゃないか」
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
上の
手欄
(
てすり
)
から見つめているうちに、お綱は夢ともうつつとも知らない境に、骨の
髄
(
ずい
)
まで沁みわたるほどなゾッとする恋慕の
寒気
(
さむけ
)
にとりつかれた。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お浜はぞくぞくと
寒気
(
さむけ
)
がして、郁太郎を乳の傍へひたと抱き寄せて、夜具をかぶろうとして、ふと仏壇の方を見ました。
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
手先が震えて
寒気
(
さむけ
)
がしていた。袴も義姉さんに手伝って貰ってぬいだ。義姉さんから私は奥の室へ連れて行かれた。
或る女の手記
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
『ハあ、お
峰
(
みね
)
がそう言ってよ、そしてね姉さんのお目が大変赤くなって
腫
(
は
)
れていましたよ。』文造はしばらく物思いに沈んでいたが、
寒気
(
さむけ
)
でもするようにふるえた。
まぼろし
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
東助少年は見ているうちに、
寒気
(
さむけ
)
がしてきた。それは色の黒っぽい丸みのある物体だった。それは何物か分らなかった。お尻のところからたしかに茶色がかった煙がでている。
ふしぎ国探検
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
こんな具合いで、生きて行けるのかしら、と思ったら、全身に
寒気
(
さむけ
)
を感じました。
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
彼は
寒気
(
さむけ
)
がした。そして少し火をたいた。窓をしめることには気がつかなかった。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
追い払っても追い払ってもそのうるさい黒い影は目の前を立ち去ろうとはしなかった。……しばらくそうしているうちに葉子は
寒気
(
さむけ
)
がするほどぞっとおそろしくなって気がはっきりした。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
だから、だからいはぬ
事
(
こと
)
ではない、
私
(
わたし
)
は
寒気
(
さむけ
)
がして
来
(
き
)
た。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
寒気
(
さむけ
)
がするわ。足の先が
冷
(
つめ
)
たいわ。
医術の進歩
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
初めは何の音だか分らなかったが、近づくにつれて愈々それだとはっきりすると、変に僕はぞーと
寒気
(
さむけ
)
を感じた。
道連
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
再び、その木剣を取り直した時は、もう鼠の姿は見えず、ただなんとなく、
寒気
(
さむけ
)
が全身を襲うて来るのみです。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
葉子は思わず
毛孔
(
けあな
)
が一本一本
逆立
(
さかだ
)
つほどの
寒気
(
さむけ
)
を感じた。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
あわててそれを拭き、それを取りのけ、それをあしらい、しているうちに、また机の前へ坐り直しはしたが、ぞくぞくとして
寒気
(
さむけ
)
がこうじ、肌がこんなに粟になる。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
彼はぞっと
寒気
(
さむけ
)
を背筋に感じて、窓を閉めた。そして煖炉の側の椅子の上に蹲った。
二つの途
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
ゾクゾクと
寒気
(
さむけ
)
が立ち、書院の
火燈口
(
かとうぐち
)
の方を見やると、そこに微かな人の
咳
(
しわぶき
)
の声がします。
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
扉を押して外に出ると、ぞっと
寒気
(
さむけ
)
がした。其処へ、後から村田が追っかけてきた。
反抗
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
“寒気”の意味
《名詞》
寒気(かんき、さむけ)
(かんき)冷たい空気。外気などの寒さ。
(さむけ)身体に感じる寒さ。悪寒。
(出典:Wiktionary)
寒
常用漢字
小3
部首:⼧
12画
気
常用漢字
小1
部首:⽓
6画
“寒気”で始まる語句
寒気立