奇態きたい)” の例文
「なんですって? いや御免ください……どうも私は耳が少し遠いもんですからね、何か奇態きたいなお言葉を耳にしたように思いますが……。」
わたしいま屹度きつとばつせられるんだわ、うして自分じぶんなみだなかおぼれるなて—眞箇ほんと奇態きたいだわ!けども今日けふなにみんへんよ』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
これについて奇態きたいなことは、高きより落ちる夢を見て、けっして下まで落ちきった夢は見ない。いつも夢の浮き橋で中絶するというふうである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
そういう奇態きたいな高利貸の乞食がある。さすがに餓鬼の国に住んで居る乞食だけあって金の溜め方がひと風変って居るです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
しかしその程度に達すればかえってこれを妨ぐるものである、との奇態きたいなる植物学上の事実が、ダルガス父子によって発見せられたのであります。
今日から申しますると、余程奇態きたいな事でありますが、昔は実際そうでありました。したがって農業は神聖で、農民の肥料とする糞尿ふんにょうは穢れとせぬ。
たねまでがり/\かぢつちやつたな、奇態きたいだよそんだがもゝかぢつてつとはななかほこりへえんねえかんな、れがぢやれでも魂消たまげんだから眞鍮しんちう煙管きせるなんざ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
まったく、幕軍側からみると、石と材木の組み合せにすぎない一孤塁にっている人間どもの妄念は、ただただ、「奇態きたいな奴らよ」としか思われなかった。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それに関口せきぐちさんと肥田ひださんは鉄道てつだうにはりたとつて、何日いつでもお馬車ばしやで。岩「なにしろ奇態きたいなもので……。 ...
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
が、このほうは、もう十年も前からこの世にいないひと。それにしても時沢弥平が、この俺に斬ってかかる因縁いんねんはないはずだが……。奇態きたいなこともあるものだ。
顎十郎捕物帳:10 野伏大名 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
ヘーン、帰らなかったって? そいつは奇態きたいだ。わしは、十六年というもの、ここの案内人をやってるだが、道にまよって出られなくなったなんて、聞いたこともねえでがす。
妖怪博士 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
公は往年夫人のねやへ通いつゞけた夜な/\、餘所よそながら此の奇態きたいな顔を隙見すきみさせてもらっては快感に浸っていたので、今日が始めてなのではないが、当人はそれを知る筈がないから
然り而して其の文をるに、各々奇態きたいふるひ、啽哢あんろうしんせまり、低昂宛転ていかうゑんてん、読者の心気をして洞越どうゑつたらしむるなり。事実を千古にかんがみらるべし。たまたま鼓腹こふくの閑話あり、口をきて吐きだす。
ぬれてくるわの化粧坂けわいざか、はいいが、なんにしても奇態きたいな女。
これが世間一般の人々からはよほど奇態きたいに見える。
誤解せられたる生物学 (新字新仮名) / 丘浅次郎(著)
しからば男という言葉もまた人もしくは女というように善意にも悪意にも用いらるるかというに、これは奇態きたいに悪意に用うることがほとんどない。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
こういう混雑の最中さなかですから随分喧嘩けんかが起らなくてはならんはずですが、奇態きたいにこの場合には喧嘩をしない。表面うわべだけは誠におとなしくやって居る。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
まことに奇態きたいな性質、バカかかしこいのか、ぼんやり者かすばしッこいのか、つかみどころのないやつじゃ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
奇態きたいだこと、うさぎ使つかひにるなて!』と獨語ひとりごとつて、『今度こんど屹度きつとたまちやんがわたし使つかひにやるだらう!』つてあいちやんは其時そのときこと種々いろ/\想像さうざうしてました
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
モシおまへさん。主「エヽ。妻「のお客は忘れてつたね。主「うだ奇態きたいなものだらう、茗荷めうがふと馬鹿ばかになるとふが、じつに不思議なもんだな。妻「本当ほんたうにさうだね。 ...
(和)茗荷 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
良賤の別が全く引っくら返るという奇態きたいな現象になりました。
「……これが、単なる昼食ひるめしでない証拠に、こんなふうにしていると、なんとなく歌でもうたい出したいような気持になる。奇態きたいなこともあればあるものだ。……たしかに、なにか変調が起きたのにちがいない」
キャラコさん:04 女の手 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
奇態きたいなトリオ(発端篇)
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
しかしここに奇態きたいに思うことは、古い言葉にはあるいはあって、僕の無学むがくのために知らぬのかははかられぬが、おんという字に和訓わくんのないことである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
それゆえに友達と縁を結ぶ時分にも一種奇態きたい礼式れいしきがあって、ちょっと婚礼のような具合に沢山御馳走をこしらえ多くの親類縁者を呼び集めてその式を挙げます。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
かれは、奇態きたいなところへ乗っている自分の姿に笑いたくなった。一天の銀河が頭上に振り仰がれた。
やがてあいちやんは空中くうちゆう奇態きたいなものゝあらはれてるのにがつきました、それは最初さいしよはなはあいちやんをまどはしましたが、しばらてゐるうち露出むきだしのだとふことがわか
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
「やア……やア……やア奇態きたいだ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)